(安倍)
白井さん、初期の映画監督 溝口健二、衣笠貞之助ですか、その辺は役者出身ですよね。

(白井)
衣笠貞之助ってひとはね、新派劇の女形(おやま)出身ですね。
で、それが初期の映画に出て撮影所で女の役をやるスターになるわけですね。
しかしだんだん日本でも西洋の映画のように、女形の役はだんだん無くなっていく。そこで衣笠さんは監督志望をして、一時期は女形をやりながら監督をもしていたって人なんですよ。
無声映画でしょ。だから監督をしながら女形の扮装で演技をしつつ「カメラさんお願い!ここでカメラ絞ってぇ」て言ってたんだっていう。

(安倍)
そういう俳優の中から、だんだんと監督が生まれてきたということ。

(白井)
衣笠さんっていうのはそういう俳優の経験もしているから、例えば長谷川一夫を大成させたのは衣笠さんなんですけども、映画に映るとき、俳優さんの魅力を最大限に発揮させるにはどのように撮ればいいかってことが、本当に分かっていた人ですね。たくさんの俳優さん、スターさんを育てるんですけども。女優さんにしぐさ入りの演技をつけたという。

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