顕彰事業

第1回表彰 授賞式の模様:亀山千広さんの受賞挨拶

本日はありがとうございます。身に余る光栄です。
私がドラマの仕事につき始めるよりも前に、渡辺晋社長はお亡くなりになられてしまったので、実は一度も面識がありません。
ただ、晋社長が作られたヒットパレード、シャボンダマホリデー、何よりも数々の映画を見ており、「踊る大捜査線」を作るときもクレイジーキャッツの「無責任男」を何とか刑事でやれないかと思いながら、作ったものです。

果たしてそんな自分がこんな素晴らしい賞をもらっても良いのだろうか?
自分は、サラリーマンです。組織に属しており、私財を投げ打ってエンターテインメントの世界をしているわけではありません。バックボーンとして組織がちゃんとついていますから、資金面で苦労することはありませんので、ともかく観ている人にサービスをどこまでやれるか、ということでやってきました。
今まで映画、テレビを作る上で、フジテレビの為に作った作品は一本もありません。全て見ている人の為にどれだけサービスできるかと思い作りました。

色々晋さんの足跡を自分なりに知りたくて、書籍などで調べてみましたら、今更ながらに教えられることばかりでした。 面白いエピソード、無頼な一面などを少しでも見れば、少々気分が楽になってこの賞をもらえるのかな、と思いましたが、本当に教えられることばかりで益々自分でいいのだろうか?、と思ってしまいました。
ただ、藍綬褒章を晋社長が授けられた時「自分でいいのか?自分は表彰して欲しいが為にやっているわけではないんだ」とおっしゃられて、それに青島幸雄さんが「そうじゃない、スタッフの代表としてもらってこい、今までやってきたことを、みんなの為に代表としてもらえばいいんだ」と話され、「そうか、それだったらもらいに行ける」と言って晋社長は授りに行かれた、と伺いました。
今回のこの賞、それで大分私も気が楽になりました。
私と一緒に作ってくれた全てのスタッフ、それからキャストの代表としてこの第一回目の賞をもらえ、ということだと思います。

書籍の中に、晋社長の遺稿とされている、「キネマ旬報」に晋社長の映画に対する思いを面々と書いている文章がございまして、「ともかく映画が楽しくてしょうがない、ヒットすることは、プロデューサーの至上の喜びである」と、まさに僕が今感じていることと同じことが書いてありました。
その文章の最後を「映画は永遠の青春である。」という言葉で締めてました。
つまり映画は永遠の青春だと思って晋社長がいらしたとしたら、その青春を今ど真ん中でやらせてもらっている自分は、きっとこれは始まりであって益々続けろと、恐らく第10回、第20回になった頃に初めてこの重みが自分なりに理解できるようになるまで精進せよということだと思います。
従って、今後もどれだけお客様に楽しんでいただけるものを、決してフジテレビの為ではなく、お客様のことだけ考えながら作っていきたいと思います。
この賞は、何よりも映画を見に来てくれた多くのお客様を代表して、いただいたと思っております。
どうもありがとうございました。

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