顕彰事業

第1回表彰 第1回渡辺晋賞:特別賞:岩谷時子氏

【第1回渡辺晋賞 特別賞】
岩谷 時子(いわたに ときこ)氏

1916年3月28日京城(現在のソウル特別市)生まれ
神戸女学院大学卒業
越路吹雪氏のマネージャー
作詞家としても有名で、越路氏の死後は作詞・訳詞に専念している

『授賞理由』
優れた時代感覚と美しい日本語の表現力で、アーティストのキャラクターを生かすプロデューサー的役割も担ってきた。作詞家・訳詞家としての長年にわたる功績に対して。

大学卒業後、宝塚歌劇団出版部に就職。宝塚で越路氏と出会い、それ以来終生の親友となる。越路氏が宝塚を退団後も越路氏と行動をともにし、越路氏が死去するまでマネージャーとして強い信頼関係で支えた。

越路氏が音楽芸能界を代表するアーティストとしての地位を不動のものとした1953年からの日生劇場でのロングリサイタルは唄のみにとどまらない、踊りや一人芝居などミュージカル的な要素を多く取り入れ、当時としては画期的なものであり、伝説的なコンサートとして今でも多くの歌手、アーティストに大きな影響を与えているが、そのロングリサイタルをマネージャー、訳詞家という立場で、越路氏との二人三脚でなしとげ成功に導いたことは、現在においては、まさにプロデューサーとしての評価をされてもおかしくない。

その傍ら、越路氏の歌うシャンソンの訳詞を手がけたのをきっかけとして作詞家、訳詞家としての活動を始め、越路氏のJASRAC 登録楽曲作品249曲中、95曲ある邦楽のうち35曲の作詞と、154曲ある洋楽のうち37曲の訳詞を手掛けている。日本語のわかりやすい言葉選びに定評があり、優れた時代感覚と独自の唄世界で、年代やジャンルを問わず幅広いアーティスト、音楽関係のスタッフから絶大な信頼がある。シャンソンのもつ言葉の意味の大切さを日本語の詞で伝えるための訳詞の作業には多くのリスクがあるが、それを見事に克服して表現した作品は今でもその輝きを失っていない。

またオリジナル作品も多く、アーティストのキャラクターを丁寧に生かす作詞は、日常的な出来事を唄の世界へ構築するセンスとアイディアによって、単に作詞家以上のプロデュース的な役割を担っている。1964年の「ウナ・セラ・ディ東京」「夜明けの歌」などが出世作となり、続いて1966年の日本レコード大賞では園まり氏に提供した「逢いたくて逢いたくて」、加山雄三氏に提供した「君といつまでも」で、作詞賞を受賞し、名実共に不動の地位を築く。
「レ・ミゼラブル」「ミス・サイゴン」などのミュージカルも手掛ける。

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